
前回は、住民票(=居住を公証)と戸籍証明書(=身分関係を公証)の違いを説明しました。
繰り返しになりますが、住民票には前住所までしか記載されないため、前々住所の証明には使えません。
「前住所より前の証明を求められることなんかあるの?」と思われるかもしれませんが、それが意外とあるんです。
今回は、「前住所より前の証明が必要なケース」や、そんなときに役に立つ「戸籍の附票」について、詳しく解説します。
「前住所より前の証明が必要なケース」として、日常生活でよくあるのが「自動車の売買」なので、この例に沿って説明しましょう。
自動車売買の際には多くの書類が必要になりますが、その中に「旧所有者の氏名又は名称の変更の事実、若しくは住所のつながりが証明できる書面」というものがあります。
つまり、「旧所有者(売主)の氏名や住所が車検証記載内容と一致していないときは、そのつながりを証明せよ」ということです。
このとき、2回以上引越しをしている人は住民票での証明ができないため、「戸籍の附票」が必要となります。
「戸籍の附票」とは、「住所地の変遷を本籍地が管理する記録」であり、いわば「住所の履歴書」のようなものです。
具体的には、引越しをした際に住所地で転入届を提出すると、そのデータ(住所及び住所を定めた年月日)が本籍地に送られ、引越しのたびにそれが記録されていきます。
なので、本籍地から「戸籍の附票」を取れば、何度引越しをしていても昔の住所が確認できるということになります。
ただ、附票には、その戸籍に関するものしか記録されません。
つまり、車検証作成時以降に(婚姻・分籍等で)新たな戸籍に入った人は、旧戸籍の附票も取得しなければ車検証記載の住所と現住所がつながらない可能性がありますので、その点は注意が必要です。
また、婚姻等により車検証作成時と氏名が変わっている人は、そのつながりを戸籍謄本や住民票で証明する必要もありますので、併せてご注意ください。
なお、車検証記載の住所については、法令に以下の定めがあります。
【道路運送車両法】
第12条 自動車の所有者は、登録されている型式、車台番号、原動機の型式、所有者
の氏名若しくは名称若しくは住所又は使用の本拠の位置に変更があつたときは、その事由があつた日から15日以内に、国土交通大臣の行う変更登録の申請をしなければならない。第109条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
2 第12条第1項・・・の規定による申請をせず、又は虚偽の申請をした者
つまり、氏名や住所に変更があったときは、15日以内に車検証の変更申請をしないと罰金が科されることがあります。
加えて、自動車関連の税金(自動車税・自動車重量税等)の通知書は車検証記載の住所に送付されるため、住所変更をしていないと受け取れない可能性があります。
通知書を受け取れずに税金の滞納をしていると、そもそも自動車の売却自体ができませんので、より大きなデメリットとなります。
以上をまとめると、前住所より前の住所も証明することができる「戸籍の附票」は非常に便利なものです。
ただ、車検証の住所変更をしておかないと罰金や税金滞納のリスクがありますので、「戸籍の附票を取れば何とかなるからいいや」と放置することなく、法令通りに変更申請することを強くお勧めします。
戸籍の附票や自動車登録につきわからないことがあれば、ぜひ専門家にご相談ください。
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