
前回は、墓じまいの概要を決めるまでに必要な手続等を説明しました。
「墓じまいの進め方って①?墓地管理者や納骨先によってどう違うの?詳しく解説します。」
改葬先を決めることに関心が向きがちですが、親族・関係者間での相談や墓地管理者とのやり取りが重要なことをおわかりいただけたかと思います。
今回は、墓じまいが終わるまでの手続等につき説明します。
ここからがいわば本番であり、書類のやり取りから墓じまい当日の行動まで内容が多岐にわたりますので、やることを一つ一つイメージしながらお読みください。
なお、繰り返しになりますが、墓じまいのやり方は人それぞれの考え方や墓地管理者のルールにより様々な違いがありますので、あくまで一例であることにご留意ください。
1.自治体から改葬許可証を取得する
新たな納骨先等との契約が終われば、自治体役場から改葬許可証を取得することが必要になります。
これは、「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)に以下の定めがあることによるものです。
第5条 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
2 前項の許可は、・・・改葬に係るものにあつては死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする。
許可をするのは「現に存する地の市町村長」のため、現在の墓所がある市町村から改葬許可を受けることになります(A市からB市に改葬するときは、A市の許可)。
改葬許可証取得に際しては、一般的に以下の書類が必要となります。
⑴改葬許可申請書
改葬許可を受ける市町村役場に提出するものであり、記載内容は「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」(墓埋法省令)に定められています。
同省令に基づき各市町村が独自様式を設けていることから若干の違いはありますが、改葬許可申請書にはおおむね以下の内容を記載します。

なお、累代墓の墓じまいでは、埋蔵されている方の名前・人数等が正確にわからないこともあるかと思います。
そうした際は、わかる範囲まで記載したうえで「他先祖代々」等と記載することが一般的ですが、念のため記載方法につき自治体に確認することをお勧めします。
また、墓地使用者以外が申請するときは墓地使用者の承諾書、墓地使用者の代理人が申請するときは委任状等が必要になることがあります。
⑵埋葬証明書
現墓所の墓地管理者から、「この方のご遺骨は、確かに当墓地に埋葬されています」という証明書をもらいます。
これは、改葬許可申請書に添付する書類として、「墓地又は納骨堂・・・の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面」が墓埋法省令で要求されていることによるものです。
この書類も市町村が独自様式を設けており、「埋葬証明書」「埋葬・埋蔵・収蔵証明書」等様々な名称があります。
また、埋蔵証明書に代わり、改葬許可申請書の下部に「上記埋葬の事実を証明する」と記載し、墓地管理者が記名押印する欄を設けている市町村もあります。
⑶受入証明書
新墓所の墓地管理者から、「改葬されるご遺骨は、確かに当墓地で受け入れます」という証明書をもらいます。
基本的には、新墓所契約の際に管理者から説明されることになります。
なお、自宅供養であれば本証明書は不要です。
⑷市町村への申請
必要書類が準備できれば、現在の墓所がある市町村役場に改葬許可を申請します。
必要書類は市町村により異なっており、改葬許可申請書・埋葬証明書だけでいいところもあれば、受入証明書や戸籍謄本(埋葬されている方の死亡日、申請者との関係がわかるもの等)が必要なところもあります。
また、申請方法も市町村により異なっており(窓口提出のみ、郵送のみ、どちらも可等)、所要日数も即日発行から約2週間後に郵送まで様々です。
2.現墓所からご遺骨を取り出す
改葬許可証を取得すればご遺骨の取り出しが可能となりますので、具体的な墓じまいに移行します。
ここからの手順もそれぞれの考え方や墓地管理者のルール等により異なりますが、おおむね以下のようになります。
⑴関係者間の日程調整
墓じまいの際は、墓地(現墓所・改葬先)の休業日を確認したうえで、関係者間(僧侶・石材店・参列者等)の日程調整を行います。
お参りされる方が多い時期(盆・彼岸等)は僧侶や墓地管理者にご迷惑がかかる可能性がありますので、日程を決める際はご注意ください。
また、新たな墓所への納骨を同日に行わないときは、ご遺骨の一時保管方法を決めておく必要があります。
⑵閉眼供養
墓じまいに先立ち、閉眼供養(「へいがん」とも読みますが、仏教では一般的に「へいげん」と読まれます)を行います。
いわゆる「魂抜き」であり、墓前で僧侶にお経をあげていただいた後に、参列者による焼香等を行うのが一般的です。
閉眼供養は墓じまいに必須の手続ではなく、閉眼供養自体を不要と考える宗派もあります。
ただ、お墓にはご先祖様の魂が宿っていると考えられていることから、閉眼供養により墓石を石に戻してから墓じまいをすることで、心理的な安心感を得ることができます。
何より、閉眼供養をしていない墓石を動かすことはほとんどの石材店に嫌がられます。
閉眼供養をどの僧侶に依頼するかは、宗派や寺院とのお付き合いの程度により異なります。
お布施の額やお車代の要否もそれぞれで異なりますが、一般的には3~10万円程度といわれています。
閉眼供養をするタイミングは決まっておらず、墓じまいに先立って行うこともあれば、当日に行うこともあります。
ただ、当日に行うときはどうしても慌ただしくなりますので、所要時間等につき僧侶や石材店と十分に打ち合わせておく必要があります。
⑶ご遺骨の取り出し
閉眼供養後、カロートからご遺骨を取り出します。
カロートが動かしにくくなっていたり、骨壺に水がたまっていたりするケースもあるため、石材店の方に取り出してもらうことが一般的です。
カロートには地上式・地下式があり、その構造も様々なものがあります。
また、骨壺のままの納骨であればそのまま取り出せますが、底に穴をあけた骨壺・納骨袋等での納骨や、カロート内に直接散骨されていたようなときは、ご遺骨が土に還っていることもあります。
この意味からも、ご遺骨の取り出しは石材店の方にお任せした方がスムーズです。
なお、ご遺骨が土に還っているときは、その土を改葬する方が多いようです。
⑷墓石の撤去
ご遺骨を取り出したら、墓石を撤去して墓所を更地にします。
重機を使用することが多いため、石材店の日程に合わせて後日行うことが一般的です。
更地にしたことを墓地管理者に確認していただき、必要書類や費用のやり取りが終われば、現墓所の墓じまいは完了となります。
3.改葬先に納骨する
ご遺骨の取り出しが終われば、いよいよ新しい墓所等に納骨します。
ここからの手順は、それぞれの考え方に加えて改葬方法により大きく異なりますが、おおむね以下のようになります。
⑴改葬先にご遺骨を持ち込む
ご自身の手で持ち込まれるときや、石材店にお任せするときは、特に問題はありません。
他方、宅配便を使うときは「ゆうパック」(日本郵便)のみであり、他の業者だと断られますのでご注意ください。
宅配便を使用する際、骨壺に水が溜まっていたり、フタの固定が不十分だったりすると、ご遺骨が破損することがあります。
ご遺骨には価値(値段)を付けることができないことから、ゆうパックであっても補償対象外となりますので、しっかり梱包することが必要です。
なお、最近は骨壺専用段ボールや梱包資材がセットになった「送骨キット」も市販されていますので、使用をおすすめします。
⑵開眼供養
納骨に先立ち開眼供養(「かいがん」とも読みますが、仏教では一般的に「かいげん」と読まれます)を行います。
いわゆる「魂入れ」であり、閉眼供養同様に墓前で僧侶にお経をあげていただいた後に、参列者による焼香等を行うのが一般的です。
開眼供養も必須の手続ではありませんが、これにより新たな墓石に魂が宿ると考えられていますので、一般墓を建立するときには通常行われます。
他方、合祀墓の場合は建立時点で開眼供養が行われているため、改葬の際には一般的に行われません。
開眼供養の費用・タイミング等は、閉眼供養同様それぞれの考え方によります。
⑶納骨・供養
新たな墓所等にご遺骨を納骨すると、改葬は完了します。
合祀墓や納骨堂では墓地管理者が行うこともある等、改葬先の形態によりやり方は大きく異なりますので、事前に十分ご確認ください。
納骨後の供養方法も様々ですが、合祀墓・納骨堂等であれば、定期的に合同供養が行われることもあります。
今回は、墓じまい終了までの手続を説明しました。
改葬には様々な書類が必要となるうえに、お墓やご遺骨の状態により手続が複雑になることもありますので、悩まれたときはぜひ専門家にご相談ください。
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