
2026年(令和8年)5月29日、改正入管法(出入国管理及び難民認定法)が参議院で可決され成立しました。
これは、在留外国人が在留資格変更・在留期間更新時の手数料上限を10万円、永住許可時は30万円に引き上げるというものです。
従来はいずれも1万円であり、約45年ぶりの引き上げとなりますが、あくまで上限額ですので、実際に徴収される手数料はこれから決定されることにご注意ください。
ところで、前回説明したとおり、外国人が日本に上陸するためには、法令の要件に該当する在留資格があることが求められます。
だからこそ、今回の法改正内容のように、資格変更・期間更新といった手続きが発生することになります。
ただ、外国人が日本に来るときは、原則的にビザを取得しているはずです。
そうすると、「ビザがあるのに、なぜ在留資格が必要になるの?」という疑問を持たれる方もあることでしょう。
そこで、今回は「在留資格とは何か?」につき、混同されやすいビザと比較しながら説明します。
1.ビザと在留資格の違い
⑴ビザとは
ビザ(査証)とは、「この外国人の所持する旅券(パスポート)は有効であり、入国させても問題がない」ことを国家があらかじめ認めるものです。
いわば、「あなたは日本に来ても問題がない」という推薦状なので、事前に在外日本大使館・領事館等で取得して入国することとなります。
ただし、あくまで「推薦状」なので、有効なビザを取得しても、入国審査で入国を拒否されることもあります。
他方、ビザは原則的に一度の入国に限り有効なので、無事に入国できたら当該ビザは無効となります。
なお、入国目的・期間等によっては、ビザが不要となる国があることは皆さんご存じだと思います。(査証免除国)
ただ、これは二国間の取り決め内容に基づくため、免除国によって目的・期間等が異なる上に、国際情勢等により免除措置が停止されることもありますので、常に最新の情報を確認してください。
⑵在留資格とは
他方、在留資格とは、「外国人がその国に合法的に滞在するための資格」であり、上陸許可の際に決定されます。
そして、外国人が日本に滞在できる期間・行うことのできる活動範囲等は、この在留資格に基づき定められており、定められていない活動を行って収入・報酬を得るためには、原則的に「資格外活動許可」の取得が必要になります。
なお、中長期在留者(3か月を超える在留期間を認められ、所要の要件に該当しない人)には在留カードが交付され、携帯・提示義務が生じます。(在留カード携帯時は、旅券携帯義務が免除されます)
⑶ビザと在留資格の違い
以上のように、ビザは「入国審査を受ける際に必要となるもの」、在留資格は「入国後、合法的に滞在するために必要となるもの」という大きな違いがあります。
日常会話では在留資格のことをビザと表現するケースもあるようですが、混同すると大きな問題になりかねませんのでご注意ください。
2.在留資格取得に向けて
⑴要件
在留資格は、「身分・地位系」(永住者・日本人の配偶者等)、「就労系」(外交・興行等)、「非就労系」(短期滞在・留学等)に大別され、その中で細分化され定められています。
各資格の詳細については別の機会で説明しますが、以下に該当するような場合はいずれの資格も取得できず、上陸許可も下りません。
①法令違反により刑罰を受けたことがある。
②麻薬等を常用している。
③銃砲刀剣類を不法に所持している。
④過去に強制退去処分を受けている。
⑤出国命令制度を利用して出国したことがある。
⑥犯罪歴がある等、素行に問題がある。
⑵在留資格認定証明書
1⑵の通り、在留資格は上陸許可時に決定されます。
ただ、毎日多くの外国人が来日する中、入国審査の場で全員から詳細なヒアリングを行って在留資格を判断することは物理的に不可能です。
そこで、入管法には以下の定めがあります。
第7条の2 (在留資格認定証明書) (抄)
1 法務大臣は、・・・本邦に上陸しようとする外国人・・・から、あらかじめ申請があつたときは、当該外国人が前条第1項第2号に掲げる条件に適合している旨の証明書(以下「在留資格認定証明書」という。)を交付することができる。
2 前項の申請は、当該外国人を受け入れようとする機関の職員・・・を代理人としてこれをすることができる。
つまり、「この人には適正な在留資格がある」というお墨付きを入国前に出しておくことで、入国審査手続を効率化するものです。
併せて、この証明書を添えて在外公館にビザ取得申請をすることで、ビザ発給業務も効率化されます。
そして、この証明書は、入国する外国人の受入機関(雇用する企業等)が代理申請することができます。
(というより、これから来日する外国人本人が日本の入管に申請することはあまり想定できないので、ほとんどのケースで代理申請がなされていると思われます)
なお、入管に届出をした弁護士・行政書士もこの手続きを行うことができますが、あくまで「申請を取り次ぐ」だけであり、代理申請ではありませんのでご注意ください。
在留資格について疑問があれば、ぜひ専門家にご相談ください。
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