「就労できる外国人の在留資格って③?経営・管理が厳しくなったってホント?詳しく解説します。」

「就労できる外国人の在留資格って③?経営・管理が厳しくなったってホント?詳しく解説します。」

 昨年の「経営・管理資格厳格化」に続き、今年は「技術・人文知識・国際業務」資格も厳しくなったという報道を目にします。
 これは、主に2026年(令和8年)4月15日申請以降、提出書類の追加が必要となるケースがあることによるものです。

 では、どのような追加書類が必要になったのでしょうか。
 前回に引き続き、省令基準のある就労資格につき説明します。

1.省令基準のある就労資格とは

 復習になりますが、活動系の在留資格は、「在留資格該当性」「(省令)基準適合性」に基づき以下の5類型に分類されます。
  ①就労資格・省令基準なし
  ②就労資格・省令基準あり
  ③非就労資格・省令基準なし
  ④非就労資格・省令基準あり
  ⑤その他(特定活動)

 日本で働かれている外国人の方の在留資格は②のことが多く、②はさらに13資格に分類されています。
 今回は、このうち前回紹介しなかった7資格につき説明します。

2.各資格の概要

⑴技術・人文知識・国際業務

 「技術・人文知識・国際業務に従事する活動」であり、技術者・通訳・デザイナー・私企業の語学教師・マーケティング業務従事者など、他の資格に該当しないオフィスワーカー全般が該当します。
 「技術・人文知識・国際業務」資格の在留期間は5年・3年・1年・3月のいずれかとされています。

 通常「技人国」(ぎじんこく)とよばれており、以下の各分野につき専門知識・技術を有する外国人が日本で働くための資格ですので、就労系資格の花形の一つといえます。

 そして、「専門知識・技術」については、上陸許可基準として以下の条件が定められているので、これを生かさない業務(いわゆる単純労働等)は該当しません。

 

 いうまでもなく、「学位・称号や実務経験が業務内容と密接に関連したものであること」を裏付け資料等で明確にすることが要求されます。
 特に、専門学校では(大学と比べ)学ぶ範囲・内容が限定されているため、成績証明書等で履修科目を詳細に確認する必要があります。

 また、この資格は「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う」と限定されており、雇用契約に限定されてはいないものの、委任・請負契約等の場合は継続性を明確にすることが要求されます。
 そして、「高度専門職」資格のように「法務大臣が指定する」という限定はないため転職も可能ですが、あくまで「資格取得時に認められた専門知識・技能を生かすもの」であることが必要です。
 
 なお、冒頭に記載したとおり、2026年(令和8年)4月15日申請以降、提出書類の追加が必要となるケースがあります。
 これは、勤務先企業のカテゴリーに応じ、主に言語能力を用いて対面業務等に従事する場合は、「一定以上の日本語能力を有すること」を証する資料の追加を要求されるものです。
 「日本語能力が乏しいまま対面業務等に従事しているケースの多発」という社会的問題に対処するものであり、具体的には通訳・翻訳やホテルフロント業務等の接客が該当しますが、「在留期間更新許可申請時に、以前から継続して同様の業務内容に従事している場合は提出不要」とされています。

 また、本資格は、「本邦の公私の機関との契約」である限り派遣契約でも認められますが、派遣契約では業務内容が不明確という問題が指摘されてきました。
 そこで、2026年(令和8年)3月9日以降の派遣契約申請においては、申請時点で派遣先が決まっており、派遣契約期間に応じて在留期間が決定されることに加え、派遣元・派遣先双方の誓約書等が必要とされています。

⑵企業内転勤

 「外国事業所の職員が本邦事業所に期間を定めて転勤して行う技術・人文知識・国際業務に関する活動」であり、海外本社から日本支社への異動等が該当します。
 「企業内転勤」資格の在留期間は5年・3年・1年・3月のいずれかとされています。

 本社支社間に限らず、親子会社間の異動のようなケースでも認められますが、「転勤直前に外国事業所で技術・人文知識・国際業務に関する業務を1年以上継続」「日本人と同等以上の報酬」という条件を満たす必要があります。
 また、本資格も単純労働の場合は認められません。

⑶介護

 「介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う活動」であり、高齢化社会進展に対する介護業界の人材不足を背景として2017年(平成29年)に設けられた資格です。
「介護」資格の在留期間は5年・3年・1年・3月のいずれかとされています。

 「介護福祉士資格」が必要なことはもちろん、「本邦の公私の機関との契約」が求められるため、個人が私的に契約した介護士等には本資格が求められません。
 また、介護施設等との契約に基づいていても、介護以外の業務(食事の準備・掃除等)のみ行うことは認められません。

 なお、本資格においても、「日本人と同等以上の報酬」が求められます。

⑷興行

 「演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動」であり、日本でライブを行うミュージシャンや日本のチームに所属するプロ野球選手が該当します。
「興行」資格の在留期間は3年・1年・6月・3月のいずれかとされています。

 本資格は、かつて風俗営業において悪用(「興行」資格で入国したダンサーに接待をさせる等)されたり、薬物犯罪歴のあるミュージシャンの入国の可否について議論になったりと、様々な問題がありました。
 そのようなこともあり、いくつかのパターンに類型化されたうえで、様々な条件が設けられています。

⑸技能

 「産業上の特殊分野に属する熟練技能を有する活動」であり、調理人・パイロット・スポーツ指導者等が該当します。
 「技能」資格の在留期間は5年・3年・1年・3月のいずれかとされています。

 本資格取得には、省令で定められた活動に該当することに加え、「日本人と同等以上の報酬」が求められます。

⑹特定技能

 「特定産業分野に属する知識・経験を有する活動」であり、特定産業分野の人材不足を背景に2019年に創設されました。
 本資格は1号・2号に分けられており、1号(相当程度の知識・経験を要する技能)の在留期間は3年を超えない範囲内(通算5年以内)、2号(熟練した技能)の在留期間は3年・2年・1年・6月のいずれかとされています。

 特定産業分野は1号・2号それぞれにつき定められており、ビルクリーニング・建設・自動車整備・農業等は両号とも対象となっています。
 また、2号では家族滞在や永住申請が可能となるなど、様々な利点があります。

 なお、本資格は政策的に設けられたものであるため、運用変更に特に留意する必要があります。
 例えば、外食業分野においては、受入れ上限(5万人)を超えることが見込まれることを理由に、2026年(令和8年)4月13日以降の受入れが停止されています。

⑺技能実習

 外国人労働者を一定期間受け入れ、習得した技能を本国で役立ててもらうことを目的に幅広く活用されてきましたが、「安価な労働力として活用されている」「立場の弱さ等を理由とする失踪が多い」といった問題が指摘されてきました。
 そこで、2027年(令和9年)4月1日開始予定の「育成就労」資格に移行することとなりました。

 「育成就労」資格は、日本における人材確保を目的とし、将来的には「特定技能」資格に移行することを想定しています。
 また、資格取得時に一定以上の日本語能力が求められる一方、技能実習では困難であった転籍が可能となっています。

今回の中では、「技術・人文知識・国際業務」「興行」資格については特に様々なチェックが必要となります。
また、「特定技能」や今後開始予定の「育成就労」では、法務省の運用方針に常に配意しておく必要があります。

在留資格につき疑問があれば、ぜひ専門家にご相談ください。

                 ⇓

行政書士・海事代理士たかし事務所(開業準備中)のホームページ

この記事を書いた人 Wrote this article

たかし